コルベルについて | ビルヂング_さんふらわあ

 2~3年ほど前、使用していたコルベルについて。

 コルベルについて書くためには、卓球人生について私は振り返らなければならないだろう。それほどまでに、コルベルと私の卓球人生は分かちがたく結びついているのだ。

 まず、2018年辺りから私はペンホルダーとして、卓球を始めそこから3年間はペンで通した。それからシェイクに転向し今に至る。この転向の際に初めて握ったのがコルベルというラケットである。特に転向にあたって理由などはなかった。強いて言うなら変化が欲しかったからではないかと推測する。

 私が手に取ったコルベルは、郵送で届いた。(通販で買ったのだから当たり前だが)通販とは言っても、今のアマゾンでのそれのようにこなれたものではなく、配送も遅かった。して、届くまでの期待と不安もひとしお。とても楽しい日々であった。

 さて、ものが届いてみると私は居てもたってもいられず梱包をほどき、すぐさま開封した。初めて自分で考えて購入したラケット。(ここでおやっと思われた方もいるのではないか。卓球を始めて三年間ラケットを自分で考えて買ったことがないとはどういうことか。実はこのことには当時私が所属していた部活動での暗黙の了解というものが関係していて、つまりは当時の私にとって、あるいは他の部員にとって、卓球用具というものは基本的には顧問に選んでもらい、こちらがお金を出して購入するものだったのだ。それゆえに自力で情報を収集し用具を選び購入したものは、一目置かれていたように思う。)

 その感触はなめらかで私の手になじみ、満足のいくものだった。質感も素晴らしく、デザインもシンプルで普遍的なものだった。ラケットは既にラバーと張り合わされて送られてきたものであったので、すぐにピン球をついて打球感を確かめることができた。心地よく丁度よかった。ポコポコと可愛らしい音を響かせながら、コルベルは球を弾ませていた。

 数日後、実際に対人で球を打つ機会があった。その場でもコルベルは期待を裏切ることなく、制御された弾みと心地よい打球感を私に提供してくれた。その心地よさにひたすら浸るため、基礎的なフォアラリーに徹した。よく飽きなかったと思う。

 おそらく、一般に流通しているラケットの中でも古株でありながら、デザイン、価格、双方の面でミニマムさを貫くコルベルは、私にとって在るべき卓球用ラケットのイデアともいえる存在であり、卓球の楽しさを再び私に味わわせてくれた存在である。

 コルベルを卒業した今となっても褪せることのないその思い出は私の心の中にある。