「まったく、もったいない」
と悲しい気分で、学生たちが散らかし放題で出て行った部屋を片付けながらキッチンに移動してみるとそこはまさにゴミの山、ここには「飛ぶ鳥、後を濁さず」という言葉はないようです。

「マスクを持っていてよかった」

悪臭を放ち、マネージャーのスーザンさんは気分を悪くしてましたが、仕事です。「事に仕える」とはよく言ったものですが、この3週間は土日も休みなし。各部屋の出入管理からペンキ屋の手配などたいへんそう。

冷蔵庫を開けると冷えたビール(もちろん飲みませんが)やバター、果物など、とても捨てる気にならない。ダーラムのアパートと兼務しているアレンさんは

「向こうはもっと酷いよ」

デュークの学生よりUNCの方がましなのかもしれませんが、彼らに必要な教育は経済、科学などではなく「道徳」(信仰と言いたいけどまあ無理か)でしょう。

重~い気分でゴミを出しに外に出ると中年の男性がゴミを漁っている所に出くわして

「この冷凍品はまだ大丈夫だ」と袋入りのとうもろこしを捨てられているプラスティックのゴミバケツに入れながら、
「これは、カッコいいね」と腕輪を見せてくれました。
「全部持ちきれないなあ」とちょっと残念そうでしたが、
「オレはギャリー、昔はグリーンズボローに住んでたけど、今はこっちに住んでるんだ」
ホームレスか単なる失業者か知りませんが、まあ健康そうでそんなに臭くない。目の前でゴミから取り出した使い残した液体石鹸で手をきれいにしてましたし、「このシャワーカーテンはかなり綺麗だ」と言ってたのでけっこう清潔な人のようです。

会社で身を粉にして働いている人もいれば、ゴミを漁って生活する人もいるし、収入が少なくて嘆いている人もいるし、物が有り余って自分の事しか考えない人もいるし、津波で全てを無くす人もいます。来世の幸福は誰の元へ行くのでしょうか。