実は僕は女性とお付き合いしたことはない。男性ともない。(当たり前)ただ全くチャンスがなかったかと言われれば嘘になる。指で数えるほどだが告白されたこともあるし、モテ期を経験したこともある。


擁護はここまで、以下は悲惨な恋愛観を持つ大学生の独白である。


 まあ言ってしまえば僕は恋愛素人である。未だに人生において運命の人との運命的な出会いがあると信じているし、友達が楽しんでいるマッチングアプリや合コンも、所詮他人を道具としてしか見ていない人間のすることだと蔑んですらいる。これは第三者から見ると実に痛々しい。芸能人がテレビのカメラの前で「布団が吹っ飛んだ」と渾身のギャグを披露するかの如しである。そんなことをしてしまえばテレビの前には一瞬にして絶対零度の氷河期が訪れ、直後に地獄の如き阿鼻叫喚の様相を呈するに違いない。僕の恋愛レベルはその程度なのである。


 でも正直そのままでいいとは思えない。僕は人並みに結婚願望がある。心の中でいつしか結婚できるだろうと思いつつも、ここまで女性と縁のない生活を送っていればそれがかなり暗雲立ち込めた現実である事に気づき始めた。そもそも結婚というのは恋愛という第一ステップを、さらにいうなら恋愛関係に至るまでのスロープ的な段階を踏まねばならない。スロープに足を乗せることが億劫な人間にその先のステップを踏めるはずがないのだ。


 しかし恋愛というのは失敗ありきである。中高生の恋人達のうぶな付き合いは、人生経験の浅い中高生だからこそ許容されるものである。歪んだ恋愛観を持つ恋愛経験のない大学生がそういう姿を晒すのは、ほどほどに判断能力と理性を携えた人間にとってあまりに大きなダメージであることは想像に難くない。

が、今傷付かなければ割と今後の人生で恋愛という側面において自分を底から掬い出す転機は無いと思う。


 恋愛の失敗が許容されるのは中高生くらいであると言ったけれど、それは「普通の人」という枠組みに当てはめた感覚なのだ。「ヤバい人」的な尺度で測れば、大学生での初の恋愛失敗はなんにもおかしなことでは無い。三、四十代で恋愛初心者になるといよいよ「ヤバい人」的尺度の中での中央値に位置してしまうのでは無いかと思う。(まあこれも僕の感想なので違うと言われれば違う)


 ここまで見苦しいほどに恋愛について語ったけどこれは僕が真摯に向き合うべき問題だと思う。著名な教育者が青年期の発達課題の一つとして異性関係の構築を挙げている。人を育てるスペシャリストである教育者ですら異性関係を尊重しているのだ。大学生が恋愛に本気になって何が悪い。


 しかし、さらに問題が一つある。残念ながら僕には好きな人がいないし、その気配すらない。袋小路だなこれ