皆の者、息災か。
加藤清正である。




今日は一日雲と涼やかな風の吹く、過ごしやすい気候であった。
やっと五月らしゅうなって参ったと思うたが、明日からははや六月。
光陰矢の如しとはこのことじゃ。




夕刻からのにわか雨、お主らは降られなんだか?
名古屋城におった者は傘をさしておらぬ者も多く気がかりじゃ。
名古屋城に参ったが故風邪をひいたなどとならぬよう、よくよく身体を温めて眠るがよい。





うちしめり 菖蒲ぞかをる ほととぎす 鳴くや五月の 雨の夕暮れ」

新古今和歌集に収められし一首、藤原良経卿の詠まれた和歌じゃ。
菖蒲とほととぎすは五月雨に関する和歌によく出てくる言の葉だのう。
今より昔は五月雨、菖蒲、ほととぎすを以って初夏のおとないを感じておったのじゃ。
菖蒲は名古屋城の垣根続き、名城公園にて見ることができる。
ほととぎすも鳴いておるとよいが。





またこの時期の、儂らの時代の歌といえばそうじゃな、「愛宕百韻」もこの頃じゃのう。

「ときは今 あめが下しる 五月かな」

いったい明智様はどのような想いでこの歌を詠まれたのかのう…。
こちらの世で御目文字叶えば、伺ってみたいものじゃ。






さて、今日は踊舞と刀を構え写し絵を撮って参った。




二人とも、様になっておるじゃろう。







さりながらこの刀、実は秘密があっての









なんと、刀身の部分が傘となっておるのじゃ。
これにはまことに驚いた。
便利なものじゃのう。
踊舞はこれを「カサナ」と呼んでおった。
儂もこれからはそのように呼んで参ろう。



奥のえびの呆れ具合が心に痛いが…。






加藤清正