『車輪の唄』
BUMP OF CHICKENの『車輪の唄』。
これほど情景が目に浮かぶ歌を、僕は、まだ他に知りません。
早朝、徐々に明るさを増してゆく星空。
生命が活動を始める直前。
世界が光に包まれる一歩手前。
自転車を漕いで、坂道を少しずつ上っていくと、
そこに広がっていたのは、視界いっぱいの真っ赤な朝焼けだった。
・・・こんなふうに文章で書いてみても、文字は無機質だから、
朝の空気の澄んだ感じとか、
自転車のペダルを交互に踏む躍動感とか、
太陽から光が降り注いでくる感じとか、
・・・やはり、うまく伝えることができません。
こうして説明するだけが、どうしても限度です。
でも、音楽は、その感じを直接的に伝えることができる。
『車輪の唄』
を聴いていると特に、そう感じます。
聴いているというより、まるで光景を見せられているようです。
もう、ずいぶん前から僕はこの歌が好きなんですが、
どこをどう感じて好きなのか、うまく説明する言葉が見つからないまま、
ずっと紹介できずにいました。
結局、紹介らしい紹介は全然できませんでしたが、
・・・なんというか、光景が目に浮かぶ叙事詩のような歌です。
『車輪の唄』
に限らず、BUMP OF CHICKENの歌は、
世界の一部を切り取ってきて、それを歌い上げたようなものが多いです。
- BUMP OF CHICKEN, 藤原基央
- 車輪の唄