結婚後の悲しい性、オスの一生と冬支度について | イタリア発ハチミツづくり 養蜂の世界と日本の田舎暮らし

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サーフィン好きのイタリア人夫とのハチミツづくり、
養蜂の世界と日本の田舎暮らし生活を綴ります。

こんにちは。
今日は、ミツバチの雄達にスポットを当てます。
そして急に涼しくなったこの頃、冬を迎えるミツバチの行動についてお知らせします。

前回まで見てきたように、ミツバチの巣は女社会で成り立っています。
お荷物よわばりされてしまう悲しい性のオス蜂について、
知れば知るほど、また悲しいというか切ないお話・・・なのですが
そこは生き物の世界、男性陣は傷つくことなくお付き合いください^^

オス蜂は、メスの働き蜂よりも体が大きく、育つ部屋の大きさから違います。
こちら↓よく見ると、白い部分、他の六角形よりも大きいですね。
これはオス蜂用に作られた巣房です。


一つの巣に数万匹の働き蜂(メス)がいる中、オスは数百匹、約1割しかいません。

オス蜂は、働き蜂が21日のところ、24日かけて羽化し、オス蜂として生まれます。
生まれた翌日から仕事が待っているメスの働き蜂とは違い、オス蜂は
巣の中ではブラブラとお散歩。お腹がすくと、働き蜂からエサをもらいという道楽生活をしています。


「まるで居候かスネっかじりの息子のようなオス蜂を、働き蜂は叱りつけるどころか、
せっせと食べ物を与えます。

そもそも、オス蜂は怠け者というより働くすべを知らず、自力で食べることもできないので、働き蜂から口移しで食べ物をもらいます。」(山口喜久二氏サイトより抜粋)

なんと良いご身分!と思いますが、
ここからが切ないお話。

オス蜂の唯一の仕事は、女王蜂との交尾です。
1匹の女王蜂は7~8匹のオス蜂と交尾をして、一生分の産卵に必要な精子を貯めて巣に戻り、
その後二度と受精飛行をすることはありません。

繁殖期の春、新しく生まれた女王蜂は、ある晴れた日受精飛行に飛び立ちます。
オス蜂は待ってましたとばかりに一斉に女王蜂を追いかけ、空中結婚に挑みます。
同じ巣の女王蜂とオス蜂が交尾することはまれで、他の巣のオス蜂も花婿候補にいるので、
大競争レースです。


競争に勝って結婚を果たしたオス蜂は、その交尾の瞬間に100%ショック死をします。
命がけの求婚なわけですね。

競争に負けて、結婚できなかったオス蜂は巣に戻りますが、ここからが大変。

繁殖期を過ぎると、オス蜂はそれこそ存在意義がなくなり、ただ飯を食らう
本当の居候
になるため、エサが貴重になる冬にはお荷物そのもの。
そこで、夏が終わり、冬の訪れを察知すると、なんと今までエサを与えてきた
働き蜂は一転、オス蜂の追放処分にかかります。巣の外に追い出し、中に入れてもらえません。
自分でえさを採ることも作ることもできないオス蜂の運命は餓死するのみ


という一生がオス蜂の悲しい性であります。


さて、この冬支度の時期、ミツバチたちはとても気が立っています。
エサが無くなって飢餓状態になることを恐れ、必死でエサを探しています。

今週私たちが目にしたものは、
弱った巣を他の巣のミツバチが攻撃、巣の中のエサを盗む行動です。

家の庭に置いていた女王蜂なしの孤児巣箱に、ある日急にたくさんの
ミツバチが群れていました。
夫に聞くと、近くの巣から蜜の臭いを嗅ぎつけて、盗みに来ているのだと。
この様子を見て、今年の冬は寒くなるに違いない、と言います。

3~4Km先からもやってくるというので、急いで来年用の道具をラップ巻にしました。

もうあと2週間もしたらストーブがいるようになりそうな、秋の陽気です。

それでは、今日はこの辺で。

また来週。

CIAO!