負けへんで‼️
      コロナ‼️



創作小噺シリーズ
第   55回




タイトル
「鮎釣り」


高山課長
「もしもし、東くんか」

「はい、どうも、高山課長」

高山
「どうだ、家いたら、気が晴れんだろう?」

「そりゃまあ、そうですけど、このご時世では、仕方ないですね。やっと週2回出勤になって、少しは刺激ができましたけど、出たら出たでまた、暑いですね、マスクで
熱中症になりそうです。
時々外せって、テレビでは無責任なことを言ってましたけど、外したら、途端にウイルスが入ってくるかもわかりませんからね、
外に出ると通勤電車が怖いですし、電車で、かからないのが不思議ですよね、もちろん飲みにいくのは1番怖いですし」

高山
「この間、飲みに行くの断られたからな」

「すいません、やっぱり、こわいですよ、私はまだひとりもんですから、
もしものことがあったら、こんな淋しい人生ないじゃないですか?」

高山
「そうかそうか、どうだ今度の休み、空気のいいところへ行こう、山へ」

「郊外へ?いいですね、でも、家にばかりいて、足腰弱ってますから、山歩きは?」

高山
「いやいや、釣りだよ、釣り」

「釣り?良いですね、タイかなんかです
か?」

高山
「あほ、川釣りやがな、鯛がおるかいな、
鮎や鮎」

「良いですね、釣った鮎を河原で、竹串に刺したやつを焼いて、ビール飲んだらうまいでしょうね。でも、自分は竿も何も持ってないんですよ」

高山
「大丈夫、私が
何本かもってるから、貸すよ、今度の日曜日、朝7時に君のところへ迎えに行くから
出る用意して、待っといてくれ」

「朝早いですね」

高山
「そりゃ、そうだ、京都の山の奥にいくんだから」





「いやぁ、気持ちいいですね」

高山
「東くん、マスクはいらんだろう、夜の街じゃないんだから、山に囲まれた清流だよ」

「いや、もしもということがありますから、一応」

高山
「では、仕掛けを作ってやるから」

「課長、何してるんですか?これから鮎を釣るのに、針に鮎をつけて、ズッコイじゃないですか?」

高山
「何も知らんのやな君は、これは鮎の友釣りだよ」

「友釣り?なんですか?」

高山
「ともづり、知らんか?」

「友引なら、知ってますけど」

高山
「全然違うよ、友釣りとは、鮎を釣る技法の一つでな、鮎は縄張り意識が強い、だから鮎のいそうなところへ、この針につけたおとりの鮎を、近づけると、追い出そうと体当たりしてくるんだ、おとり鮎の尾びれ付近を狙って体当たりしてくるから、その辺りに
こうしてつけた針に引っかかるというわけだ、ほれ、君の仕掛けができたぞ、頑張って」

「ありがとうございます」





「課長、なかなか釣れないです」

高山
「そんな、初心者に簡単につれてたまるか、こっちは何年やってると思うんだ、おとりを、弱らさないようにな」

「課長はどうですか?」

高山
「それが1匹も釣れんなぁ、今年はあまり釣れないとは聞いていたがここまでとは」

「もう、5時間ですよ」

高山
「分かってる、おとりも、5回も変えたのになぁ、なんで今年に限ってこんなに釣れないのかなぁ?
不思議だなぁ?鮎のいそうなところへ投げてるのになぁ、そーれっと」







川の底の鮎
「また来た、おい寄るな、ソーシャルディスタンスを知らんのか、寄るな、ここにいたいんなら、わしが出て行く」



おわり