負けへんで!
コロナ!
創作小噺 シリーズ
第24回

《父よあなたは辛かった》



3代目、シャボン亭泡助
「えー、
3代目
泡助でございます。

前に
こちらの高座に上がりましたのは、先、先代で、最近はかなりみなさん手洗い、うがいが徹底してまいりまして
私は
もう、三代目で、初代は赤い網の中で他の石鹸と混ざって、溶けてしまいまして、2代目はもう網の中で、かろうじて石けんの形をしているだけで、
お前が泡助を襲名しろと、なりまして、大した襲名披露もないまま、あわてて 、泡てて、三代目泡助となりました。
ところで、
だいぶ新型コロナもおさまってきたとは言え、
それはみなさんが
徹底して気をつけられまして
人との
接触を避けられた努力が実って
毎日の感染者は随分減りましたが
油断は
禁物
手に荷物、てなこと申しますが、
国の偉い方も、
今月いっぱいの自粛ですけど、
14日めどに
状況を見て見直したいって
おっしゃっておられますが
私は
もう初めから
今月いっぱいなら
今月と決められたら、歯を食いしばって我慢ができるというもんで、
美味しいこと言われると
ちょいとした気の緩みで
また
伸びるてなことにならないかと
心配しております。
なんです?
お前ごときが偉そうに言うな
私はもう
いつも
せっけん(世間)のことを
考えておりまして、ここは、歯を食いしばってみんなで頑張る方が
良いんじゃないかと
思っておりますが


ところで
おうちに感染を持ち込むのは
やはり仕事から帰ってきた
お父さんが多いようでございまして
家に年寄りや子供を抱えている、お母さんがたは大変です。

「ただ今」

「ああ、あなた、その辺のものを、触らないで、マスク、手袋はそのビニールにいれて、今、消毒液をかけるから」

シユーッ

「痛い、目が痛い」

「我慢して、あーまだ上がらないで、そこで着ているものみんな脱いで」

「ここで、裸に?」

「そう、さ、早く下着も脱いで」

「おいおい、誰か宅配の人でも来たら」

「貴方が受け取って、そう靴下も脱いで、そのままシャワーを
浴びてちょうだい、丁寧に、身体に付着しているウイルス菌を流して、終わったら食事だから」

「やっと?腹減ったぁ、今日はなんや?」

「やはり、免疫力もつけないといけないから、思い切って焼肉よ」

「やったぁ、久しぶりに一家揃って焼肉か」

「皆はもう食べたの、あなただけ、
シャワー浴びたら、キッチンに用意してるから、
密接を避けるために、一人で食べて、
私は
悪いけど1日子供と年寄りの世話で疲れてるので、先に寝るから
あなた、食べたら片付けて、洗い物しておいてね」

「洗い物も?」

「そらそうよ」

「わかった、全て終わったら、寝室に行くわ」

「何を、言ってるのよ、寝室行くまでに誰かと接触したらどうするの?洗い物終わったら、台所にふふとん用意してるから、それを敷いて寝てちょうだい。
朝は、窓開けて、換気して、布団をたたんで、昨日のゴミを全て、持って、台所から出て、ゴミ捨てて、会社に行ってね。
おやすみ」

「ここ、俺の家?」




おわり