フェイブルマンズ(スティーヴン・スピルバーグ監督作品) | 人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら

人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら

ネットの海を漂う吟遊詩人になって
見知らぬあなたに愛を吟じよう

監督・脚本 スティーヴン・スピルバーグ

脚本 トニー・クシュナー

撮影 ヤヌス・カミンスキー

音楽 ジョン・ウィリアムズ

編集 マイケル・カーン

出演 ミシェル・ウィリアムズ、ポール・ダノ、セス・ローゲン、

   ガブリエル・ラベル、ジャド・ハーシュ、デビッド・リンチ

2022年度 製作国 アメリカ 上映時間 2時間31分

 

スピルバーグが少年時代に、趣味の8ミリカメラで撮影した家族との思い出を、

新たに焼き直したような自伝映画で、亡き両親特に母親に対する愛情の深さが

伝わってくる作品です。

スピルバーグが映画監督を志すまでの話よりも、現実的な科学者の父とピアニストで
夢想家の母の狭間で、映画と言う虚構の中に現実を見つける瞬間を、エンタメ的な
要素を盛り込んで描いていて、ユダヤ人に対する差別や両親の離婚等ネガティブな部分も
諄くなくて良いのですが、8ミリを撮影する過程や出来上がった作品の上映会等
無駄に長い場面が多くて、編集で2時間ぐらいの上映時間に纏めていたら、
お得意のジェットコースターのようなリズム感が生まれていたと思います。

 

本作のMVPは、母親を演じたミシェル・ウィリアムズですが、

影のMVPはジョン・フォードを演じたデヴィッド・リンチで、

数分の出番でしたが、美味しいところを全部持って行ってしまいました。

 

映画の名台詞

 

主人公のフェイブルマンズが、ジョン・フォードのオフィスと知らずに訪ねる場面から

J:ジョン・フォード F:フェイブルマンズ

 

J「映画監督になりたいそうだな。」

F「はい、なりたいです。」

J「何故だ?この商売は自分がボロボロになるぞ。」

 「おまえさん、芸術の何を知ってる?」

F「あなたの映画大好きです。」

J「違う、芸術だ。」

 「あそこに絵画が見えるな、何が見えるか言ってみろ!」

F「分かりました。この絵には男が2人描かれています。馬に乗って、

   それで二人は何かを見つめているので、偵察しているのかも…」

J「そうじゃない、そうじゃない、地平線はどこにある?」

F「地平線?あ、下です。」

J「よし正解。そちらの絵に移れ。」

F「カーボーイが5人見えます。」

J「そうじゃない、そうじゃない、そうじゃない、くそ地平線はどこにある!」

F「作品の一番上!」

J「正解、こっちこい!」

いいかよく覚えておけ。

 地平線を一番下に置けば面白い絵になる。

   地平線を一番上に置けば面白い絵になる。

 地平線を真ん中に置けば、

   くそ詰まらん絵になる。分かったか。