知恵遅れのジェルソミーナは、生活苦のために大道芸人のザンパノに二束三文で売られ、
貧しい村を離れて、助手として旅回りをしている。
粗暴なザンパノに罵られる毎日だったが、少しづつだが新しい生活にも慣れ、小さな幸せを
感じるようになる。
しかし、何時まで経ってもザンパノに人間扱いしてもらえない彼女は、生きることに意味を
見出せなくなり、サーカスで知り合った綱渡り芸人のイル・マットに、涙ながらに辛い胸の
内を明かす。
ジェルソミーナ 「私は何の役にも立たない女だわ、生きている事がいやになった。」
中略
イル・マット 「ザンパノはお前に話しかけたいのに、吠えることしか知らない。」
ジェルソミーナ 「可哀想ね。」
イル・マット 「そう、可哀想だ。しかし、お前以外に誰が奴のそばにいてやれる?」
「何かの本で読んだことがあるが、この世の中にあるものは、何かの役に立っているそうだ。」
「例えばこの石だ。」
ジェルソミーナ 「どれ?」
イル・マット 「どれでもいい。」
道端の小石を拾い上げて、「こんな小石でも何かの役に立っている。」
ジェルソミーナ 「どんな?」
イル・マット 「それは…俺なんかに聞いても分からんよ、神様だけがご存じだ。」
「お前が生まれる時も死ぬ時も人間には分からないし、俺には小石が何の役に立つかわからんが、
何かの役に立つ。これが無益ならすべてが無益だ。」
「空の星だって同じだと俺は思う。」「お前だって何かの役に立っている。」