キネマ旬報のベストテンが発表されました。
『インセプション』が10位で
『インビクタス/負けざる者たち』が2位ですか…
イーストウッドの異常ともいえる日本での評価の高さには、
驚きを隠せませんね。
今回のベスト10の結果を見ると、1980年代後半から、
レンタルビデオ店の利用客増に比例するように映画の
公開本数も増えたことで、多くの作品に票が分散されて、
ベストテンの枠の中で作品を評価することには
限界があるように思いました。
根本的な問題として、評論家に10本だけ作品を選ばせて、
1位を10ポイント、10位を1ポイントに換算して、そのポイントの
集計で順位を決める方法を昔から疑問に思っています。
例えば、10人の選出者が作品Aをベスト10に選んだ場合と、
1人の選出者だけがベストワンに選んだ作品Bが
同じ10ポイントの得点で評価されたり、逆に、過半数以上の
評論家が作品Aをベストワンに選出しても、誰からもベストワンに
選出されなかった作品Bが、得点数の差で
ベストワンに選ばれてしまう可能性があるわけです。
『お熱いのがお好き』『サイコ』『博士の異常な愛情』
『ブレードランナー』『ワイルドバンチ』がベスト10に、
『七人の侍』『東京物語』『街の灯』『2001年宇宙の旅』が
ベストワンに選ばれていないことが、何よりもその証左だと
思います。
キネマ旬報のベスト10は、淀川長治さんや双葉十三郎さんが
執筆者で活躍されていた頃は、それなりの権威はありましたが、
やはり角川書店グループの傘下に入ってから、堕落してしまった
のでしょうか?
私が若い頃のキネマ旬報は、若手の優秀な作家の作品をいち早く
見立ててベスト10と言う形で紹介してくれたものですが、
今では、自分が選んだ作品が、どの程度に評価されているのかを
比較する楽しみしか残っていないことが残念です。
(※外国映画ベストテンだけを対象にした論評です。)
◇2010キネマ旬報外国映画ベストテン
(赤字は私もトップテンに選出した作品)
1位「息もできない」
2位「インビクタス/負けざる者たち」
3位「第9地区」
4位「白いリボン」
5位「ハート・ロッカー」
6位「冷たい雨に撃て、約束の銃弾を」
7位「クレイジー・ハート」
8位「冬の小鳥」
9位「スプリング・フィーバー」
10位「インセプション」
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