BS12で放送してました。映画「八甲田山」。1977年公開。主演は雪山が似合いすぎる高倉健。それに、北大路欣也も緒形拳も三國連太郎も前田吟も、その他当時の名優がこれでもか、と投入されている。そして、海の男、加山雄三、だ。

 

雪が大風と共に振りまくる画面。俳優さん達が来ているウールの該当から軍帽から背嚢から全て雪に覆われている。というか、もうまみれている状態。当時はもちろん、CGなんてないから、雪に覆われるには雪の中に立ち続けるしかない。寒い、なんてもんじゃない、凍えるよ。

 

そして、膝までの雪の中の行軍。三國連太郎が率いる(ほんとは北大路欣也が隊長なんだけどね)連隊では発狂者が出て大雪の中ふんどし姿で死んでしまうシーンはもう気の毒で観ていられない。役者さん、死んでしまうよ。

 

健さんの連隊も現地案内人の秋吉久美子と吹雪の中の山歩き。もう、前が見えないよ。

 

次々に雪に埋まってる兵隊さんが映る。皆、ホントに死ぬぞ。

 

それから、これを撮影しているスタッフ達だって、一歩間違えたら死ぬぞ。

 

暖房の利いたあったかい部屋で観てて申し訳ありません、と思わず謝罪してしまう。

 

そして、とっても寒いシーンばかりの映画だけど、この映画に関わった人達の熱い想いも感じたのだ。

 

日清戦争に勝ち、日本が国力を上げていくために犠牲になった数知れない市井の人々の無念さ、そして、そのまま太平洋戦争まで続く暴走の無意味さ、も感じた。

 

一応小屋のようになっている遺体安置所で、夫の遺体に寄り添う喪服の栗原小巻。やはり思いっきり寒そうだが、表情がきりっとした軍人の奥方の美しさであった。ああいう目、というか眼差しの女優さんももういないね。