小学校低学年の隆くんと、主治医の雅治先生

和「光一?」

光一「ただいま。遅くなりました。」

高校に進学した頃から、仕事が忙しくなった父さん

きっと僕に気を遣い、高校に進学するまでは、在宅での仕事を中心にしていたのかもしれない

忙しいのに、学校の行事には必ず来てくれていたから

和「えぇ、遅かったですね?」

光一「ん、ごめんなさぃ。和さん、少し話しても良いですか?」

和「ん?」

遅くなる時は、心配だからと連絡するように言われていた

申し訳ないと思いつつも、まさか自宅に父がいるとは思わず

和「ごめんね、光一。忙しくしてたから、中々傍に居れなかったね。」

光一「いぇ。仕事だって分かってますから。それより、遅くなりました。ごめんなさい。ね、和さん。隆くんのこと、覚えてますか?」

和「えぇ。」

光一と和も血の繋がった親子ではない 

光一の両親は、光一のことを愛せず

まだ物心つく前の光一を和に預けたまま、消息を絶ったのだった

幼い光一は、心を閉ざしてしまっていたのだが

和が、ゆっくりと優しく接したことで少しずつ、少しずつ子どもらしさを取り戻していった

光一「今日、学校の帰りに。塾に向かう途中で、彼の主治医から連絡がありました。今、隆は入院しています。明日は、痛みの伴う治療になるそうです。和さ、傍に居てあげたいんです。」

和「そうですか。私も一緒に行っても良いですか?」

小さく頷くと

優しく微笑んでくれた

和「今日、遅くなったのは病院に行ってたのですか?」

光一「はぃ、隆くんが眠るまで傍に居てあげたくて。ごめんなさぃ。」

和「そうですか。これからは、遅くなる時は、連絡を下さい。心配ですから。私が仕事で家を空けていてもです。お願いします。」

光一「はぃ。」

和「今夜は、遅いですから。休みましょうね?お風呂沸いてますから、ゆっくり入りなさぃ。」

光一「はぃ、おやすみなさい。」

翌日は学校を休み、隆くんのお見舞いに

父と一緒に

光一「隆くん。」

隆「っ、ふぇ。」

光一「ごめんね、びっくりしたよね?僕のお父さん。大丈夫、怖いことはしないよ?」

隆「ん、っ。」

震えを隠そうとするキミ

優しく抱き寄せると

光一「泣いても良いんだよ?辛い時は我慢する必要ないからね?」

隆「ふぇ、にぃ。っく、こぁぃ。」

光一「そうだね、怖いね。よく言えたね、偉いね。」

気持ちを伝えることが苦手なキミ

沢山我慢し、諦めてきたのだろうから

隆「にぃ。傍に居てくれるの?」

光一「ん、居るよ。」

雅治「隆くん。あれ?貴方は?」

和「初めまして。光一の父で、二階堂和也です。」

雅治「私は、隆くんの主治医の谷山雅治です。よろしくお願いします。」

和「えぇ。よろしくお願いします。」

雅治「隆くん。」

隆「ふぇ、にぃ。」

光一「ん?我慢しなくていいよー?隆、大丈夫ね?」