オリンピックたけなわである。今夏は、新型コロナウィルス感染症の流行があり、その開催の是非を巡って様々な議論があった。本ブログではそこには立ち入らない。

 

 私のオリンピックの楽しみ方は、自分で言うのも何だが、かなりニュートラルだと思う。日本勢とか、メダルとかにはほとんど拘らない。どの国のどの選手も、このオリンピックのために全てを賭けてきたのだろうし、今まで支えてくれた人たちがいるのも同じだろう。全ての選手が自分の最高のパフォーマンスを発揮してくれることを願って応援している。もちろん、見ているうちに自然にひいき選手はできるが、日本選手とは限らない。ちなみに現時点で今回のイチオシは、日本男子バレーの高橋藍選手である。😍

 

 

 さて、本日のお題についてである。1996年7月赤坂BLITZにて、西城秀樹さん主演のロック・ミュージカル『Rock To The Future』が上演された。「Endless World」with 美香(PARADISE LOST)、HIDEKI SAIJO は、そのミュージカルで何度かリプライズされる重要な楽曲である。

 

 『Rock To The Future』のストーリーを簡単に振り返っておこう。

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 西暦2096年、完全無欠の平和と秩序の時代、人々はすべての感情をコンピュータ音楽によってコントロールされていた。その世界では唯一の犯罪は前時代の音楽を聴くこと。そこへ、過去からノイズが侵入する。それは胸を打つ美しい音楽だった。秩序回復の使命を負って時を遡る男、キッズ。

 キッズが送り込まれた過去は2016年。かつて日本のポップス界に君臨したスーパースター、ヒデキは引退し、2人の子供たち(ローラとテツヤ)とともに悠々自適の生活を送っていた。ヒデキ家の人々により、キッズは少しずつ人間らしい感情と、真の音楽に目覚めてゆく。そして、任務を遂行できないキッズやヒデキ家の人々に危機が迫るが…。

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 このミュージカル上演時のスペシャルビデオや芸能ニュースの動画が見つかったので、ご紹介しておく。

 

 

 

 キャストは、橋本さとし(キッズ)、美香(ローラ)、黒田勇樹(テツヤ)の他に芳本美代子ら。宏美さんは、若くして亡くなったローラとテツヤの母・エリー役だが、声だけの出演、となっている。

 

 橋本さんは、1989年に劇団☆新感線でデビュー、その後俳優・ミュージシャンとして活躍されている。美香さんは、歌手で女優の金子美香さん。このミュージカルで知り合った音楽担当の白石紗登李と組んだユニットが PARADISE LOST である。黒田さんは当時14歳。それ以前から子役として活躍、後に仮面ライダー剣も演じている。

 

 「Endless World」は、作詞:真生珠、作曲:白石紗登李、編曲:白石紗登李・鈴木雅也で、

 

♪「この宇宙の どこかに いつの日か

 愛しあえる 人がいる」

 幼い日 聴いてた 子守り歌

 思い出す 母の声

 

という美香さんのソロで始まる、ロッカバラードスタイルの子守歌である。歌詞の内容、曲順から考えると、この歌は、キッズが「歌は気持ちを伝えるもの」と教えたローラに、愛を感じ始める辺りで歌われたのではないかと推測される。ご存知の方があればフォロー願いたい。

 

 この歌は、2番で母・宏美さんの天から降り注ぐ優しい声を聴くことができる。そして、何と言っても聴きどころは、レコーディングされたものとしては唯一と思われる、宏美さんと秀樹さんの(死に別れた夫婦の)デュエットの部分である。

 

 この曲が収録されたCD『D・LIVE ORIGINAL COMPILATION Rock To The Future 』は、このミュージカルで使用された楽曲を集めたアルバムで、ライブ音源ではない。その翌年に完全版がリリースされ、それにはこの「Endless World」のオーケストラ・バージョンが収録されているが、インストだけで歌は入っていない。

 

 またこの曲は、宏美さんの『30TH ANNIVERSARY BOX』のRare Tracks に収録されている。そして何とYouTubeにも上がっていたので、未聴の方は是非!極上の子守歌、秀樹&宏美のスーパーデュエットをお聴きいただきたい。

 

 

 芸能ニュースの動画を見てしみじみ思っていたことがある。このロック・ミュージカル上演時には20年先の未来だった2016年はすでに過去になっていることだ。ミュージカルの中では、還暦を迎えたヒデキは、すでに引退して娘と息子に恵まれたイケおじだ。現実の秀樹さんは、この頃一女二男に恵まれている辺りはほぼミュージカルの台本通り。違うのは、秀樹さんが病と闘いながらも、歌い続けていらしたことだ。皆様よくご存知の通り、秀樹さんはその2年後、亡くなる1ヶ月前までステージに立ち、生涯現役を貫かれたのだ。

 

(1996.6.21 西城秀樹 アルバム『D・LIVE ORIGINAL COMPILATION Rock To The Future 』収録)