命が唯一の悪夢
毎日、九百匹の子豚が生まれます。
人間と同じアーモンド型の瞳の子豚達です。少し想像してみて下さい。
もしそれが人間なら。
毎日900人の子供が生まれます。ママの大好きな、900人の赤ちゃん達です。
ママに甘えるのが大好きで、兄弟たちと遊ぶのが好きで、風を感じるのが好きで、
頭をなでてもらうのが大好きな子ども達です。
このすばらしい世界に生まれたことを喜んでいる子ども達です。
この先に待っている、人生という冒険譚に、胸躍らせて期待している子ども達です。
なのにこの子ども達には、その命が唯一の悪夢です。
子ども達は牢獄の中、畜産業者の目の前で生まれたのです。
「愛してる」と言われるために生まれてきた子に、与えられるのは檻と機械です。
そして子ども達は、殺されるときに初めて、牢から解放されるのです。
そのステーキ、本当に美味しいですか?
ヘルムート・F・カプラン 『死体の晩餐』 より抜粋
