現代組織の弱点を突かれたフランステロ事件 | 大学の経営学講義 実況中継

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私立大学で経営学を教えています。
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語ります。

構造的に勝てなかったフランス


例えば、テロ対策として移民政策があり、

国家公安局諜報部門のような情報と調査部門があり、

パスポートの管理があり、各国とのリエゾン(協力)

部門があり、警備がありという具合です。


これに対して、テロリストの側の組織論は、

分権型組織で大丈夫です。


ただテロというミッションを成功させればいいだけです。


分散させたグループに、「隙あらばやれ」という

指令を出せばよいわけです。


以上みてきたように、テロの攻防というメカニズムを

考えた時、テロリスト側とそれを防ぐ側の組織論は

中央集権型と分散型にならざるを得ず、

テロという局面では常に中央集権型が不利であり、

遅れをとるということです。


組織は大きくなり過ぎると、必ず役割だとか、

権限だとか、命令の伝達だとかの形に縛られ、

またそこにかかわる人々がメンツを守るため

だけにこだわり、実効性というものが

おろそかにされがちです。


そこへいくと、テロ組織は、ただやるだけ。


フランステロ事件は、現代の組織の急所を見事に

突かれたのです。


続きます