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日本の大学ではなぜデモが起こらないのか

アリの一言 2024年05月04日 | 日本の政治・社会・経済と民主主義

 

  

 

イスラエルのパレスチナに対するジェノサイド(民族抹殺)に対し、アメリカはじめ世界の大学で抗議のデモが広がっています。アメリカでは全米40校で2千人以上が逮捕・拘束されました(3日昼のニュース)。

 

一方、日本の大学で同様のデモが行われたという報道はありません。なぜ日本の大学ではイスラエルへの抗議デモが起こらないのか。要因はさまざまあるでしょうが、その一端をうかがわせる記事が先日ありました。

 

学長にモノを言わせない国では 国立大アンケートが映した実態」と題した記事(4月27日付朝日新聞デジタル・増谷文生論説委員)を抜粋します。

 

< 国立大が法人化されて20年がたった。学長たちは、この間の国の大学政策をどのように評価しているのか。確認してみようと、国立大の学長86人を対象にアンケートを実施した。

 

調査を通じて、改めて実感したことがある。それは、国立大の学長の多くが、国にモノ申すことを過剰なまでに恐れるようになったことだ。

 

有力大からも地方の小規模大からも、厳しい現状や国への要望が数多く届いた。国からの運営費交付金の減額などが教育や研究に与えた具体的な悪影響を訴え、最近の大学政策を批判する声が多かった。

 

だが、コメントを記事で活用したいと連絡すると、多くの学長が匿名を希望した。ある旧帝大の学長は匿名でもコメントを使うことを承諾してくれなかった。別の有力大の学長はコメントどころか、37問の全回答について匿名を希望した。

 

国から独立した法人のトップが、国に堂々と意見を言えない。これが実態だ。こうした傾向は、国が交付金や補助金を使って大学を互いに競争させ、強力にコントロールしてきたことを物語っている。>

 

4月の入学式では学長たちは学生に立派な訓示を垂れました。しかし自分は実名で政府の政策の誤りを指摘することもできない。これが多くの国立大学長の実態です。

 

その根源は、記事も指摘しているように、自民党政権によるカネによる大学の締め付け・管理強化です。政府は大学支配をさらに強化するため、「運営方針会議」なるものを設置する国立大学法人法の改悪を、多くの大学職員の反対を押し切って、昨年末の臨時国会で強行しました。そしていま、任命拒否問題をうやむやにしたまま、日本学術会議の法人化を強行しようとしています(12月26日のブログ参照)。

 

イスラエルへの抗議デモはじめ、平和・民主主義を求める反政府デモが日本の大学で起こらないのは、学長もモノが言えなくなっているほど、大学全体が政府の支配強化によって去勢され、思考力も行動力も奪われているからではないでしょうか。

 

そしてこうした政府による、大学、学術会議への圧力・支配強化は、大学・研究機関における軍事研究のいっそうの強化(軍学一体化)と表裏一体であることを銘記する必要があります。

 

これはもちろん大学関係者だけの問題ではありません。日本の進路を左右する重大な問題であることを市民の共通認識にする必要があります。

 

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https://ch.nicovideo.jp/article/ar2196646