裏金議員たちの恐るべき鉄面皮に唖然! | ワーカーズの直のブログ

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恐るべき鉄面皮の恥知らず 裏金はもとよりその後の醜悪に国民は吐き気

日刊ゲンダイ 2024年2月3日 日刊ゲンダイ

 

「反社」に続き「裏金」の定義も困難(C)日刊ゲンダイ

 

〈えっ、ドリルが聞き取るんですか〉──SNSには驚愕の声があふれている。政治資金パーティー裏金事件を受け、自民党が2日から関係議員の聞き取り調査を開始。対象者は会計責任者が立件された安倍派、二階派、岸田派の議員ら約90人。座長に森山総務会長を据えた身内のお手盛り調査で、どこまで実態に迫れるかは疑問だが、腰を抜かしたのは調査する側の陣容だ。小渕優子選対委員長が、シレッと参加しているのだ。

 

小渕といえば、2014年に自らの政治団体を巡る不透明な会計処理が発覚し、経産相を辞任。元秘書が政治資金規正法違反で有罪判決を受けた「政治とカネ」の当事者である。家宅捜索の際、ドリルで破壊されたパソコンのハードディスクが見つかり証拠隠滅を図ったことから、ついたアダ名は「ドリル優子」。昨年9月の就任会見でも釈明に追われ、小渕は「心に反省を持ち、決して忘れることのない傷」と語り、言葉に詰まりながら陳謝したものだ。

 

傷つけたのは会計データが保存されたハードディスクというツッコミを待つような意味不明なポエム表現だけではない。「私に必要な話があるということであれば言ってもらいたい」と今後も説明に応じる姿勢を見せたものの、それっきり。今なお十分な説明責任を果たしたとは言い難い。

 

ちなみに当時、小渕の政治団体は「事務所費」名目で、高級ブランド品や化粧品、子どもの紙オムツまで政治資金で買い漁っていた。こんなデタラメな金銭感覚の持ち主に裏金議員を聴取させるとは、違和感を覚えて当然だ。いくら執行部の一員とはいえ、ドリル優子は辞退が筋である。

 

「詳しくはWebで」のフザケた“紙対応”

 

解散を決めた安倍派が1日、最後の議員総会を開いたが、幹部連中は「まさに断腸の思い」(塩谷座長)、「忸怩たる思いで残念だ」(松野前官房長官)と感傷的なセリフばかり。裏金づくりの経緯は「任せきり」「報告はなかった」と一様に秘書に責任の全てを押し付け、出処進退はうやむや。道義的責任も政治責任も取るそぶりはなく、最大派閥を率いた矜持はみじんもない。

 

安倍派はようやく公開義務のある3年分の政治資金収支報告を訂正。過去5年間で現職・元職合わせて95人側の支出に計6億7654万円の不記載があると発表したが、記者会見には応じず、紙きれ1枚のコメントで不記載の総額などを示し、〈詳細は総務省のホームページで訂正された収支報告書をご覧ください〉ときたもんだ。どこぞの「詳しくはWebで」のテレビCMじゃあるまいし、フザケた対応である。

 

裏金づくりは誰がいつ始め、なぜ続き、何に使ったのか──。安倍派の「紙対応」には説明責任に背を向け、核心に触れさせまいとする固い意志がビンビン伝わってくる。ヤツらは収支報告書の「訂正」と派閥の解散で幕引きを図り、裏金事件から解放されたくて仕方がないのだ。

 

腐り切った幹部の煮え切らない態度に安倍派の中堅・若手から責任を求める声が上がっているが、こちらも違和感しかない。何しろ安倍派は裏金総汚染。所属議員のほとんどが裏金を受け取っていた。

 

最後の総会後、幹部の態度に「私たち自身も納得していない」と怒りを込めて記者団に語った丸川元五輪相は、5年間で822万円を裏金化。「幹部の責任は重い。(説明責任も)不十分だ」と不満をぶちまけた松川るい参院議員も19年からの4年間で204万円を裏金化していた。「エッフェル姉さん」の言い訳も「まったく知らなかった。事務所の管理に任せきっていた」と幹部連中とまるきり一緒。同じ穴のムジナたちが今さら被害者ヅラで、幹部に怒る神経には鼻白む。

 

政権放棄に等しい「裏金の定義は困難」

 

「大臣になるほどのカネを集めようと思った」

 

総額4000万円超の裏金化で罰金100万円、公民権停止3年の略式命令の出た谷川弥一・前衆院議員は辞職会見でそう語っていた。安倍派内では集金力の多寡で役職が決まるとゲロったも同然。それでも大臣ポストに恵まれなかった「頭悪いね」オジサンは自ら「答弁が下手で、危ない」「大臣に向かない」と派内で評価されたからだと理由を打ち明けていた。

 

「ポストを占う指標のひとつが、派閥のパーティー券の売り上げだったということ」と指摘するのは、高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)だ。こう続けた。

 

「一心不乱で支援企業などにパー券を売りつけ、派閥の実入りに貢献した議員ほど幹部の覚えもめでたく、ポストが回ってくる。ノルマ超過分が自由に使える裏金となればなおさらで、しのぎを削って集金力を競ったわけです。いわゆる『5人衆』の裏金額が1000万円を超えたのも、役職に応じたノルマで範を示したのか、多くのカネを集めたから偉くなれたのか。いずれにせよ、出世の野心ギラギラで裏金づくりに励んだ面々が、幹部を責めてもシラジラしいだけです」

 

5人衆の1人、西村前経産相の派内評価がイマイチなのも、人望のなさに加え、唯一、裏金の額が1000万円を下回ったことと無縁ではないのだろう。それだけ集金力がモノをいう世界。ポスト欲しさの下心で、裏金に手を染めた集団が今、国会で必死になっているのは「言葉狩り」だ。裏金を追及する野党の表現に神経をとがらせ、ピリピリしている。

 

裏金を「かっこ」でくくる幼稚なゴマカシ

 

1日の衆院代表質問で、共産党の志位議長は「自民党ぐるみの組織的犯罪」、日本維新の会の馬場代表も「組織的犯罪集団」と批判した。すると、自民の議院運営委員会理事は登壇して抗議。「組織的犯罪」の表現にクレームをつけたのだ。

 

「安倍派も二階派も岸田派も裏金づくりの責任を会計責任者のせいにしていますが、100人近い党内議員の裏金化とツジツマが合いません。これだけの数の議員事務所で、一斉に会計責任者の秘書が議員に内緒で裏金化したというのか。そんな偶然が重なれば奇跡です。奇跡でなければ裏で示し合わせているに過ぎず、議員側の指示に従っているだけ。党ぐるみの『組織的犯罪集団』であることは明白です」(五野井郁夫氏=前出)

 

1月29日の参院予算委員会では、共産党議員が用意したパネルに「裏金問題」と明記したことに、自民側がケチをつけ、開会が30分遅れた。結局、裏金の文字を手書きのカギかっこでくくり、〈「裏金」問題〉とすることで片付いたが、実にバカバカしい。

 

あまりにも当事者意識に欠けた幼稚なゴマカシに呆れていたら、2日の参院代表質問で岸田首相が仰天発言。裏金の定義を問われ、「文脈に応じて、意味、内容が異なってくる。一概に定義をお答えすることは困難」と言い放った。

 

正式な出入金記録に記載せずに蓄財されたカネだから「裏金」と呼ぶのだ。実に簡単な話である。岸田派も刑事処分を受けており、会長だった岸田も当事者のひとり。裏金じゃないなら、誰がいくらもらい、何に費やしたのかを洗いざらい、表沙汰にすればいい。他人事にも程がある。

 

「今なお1万4000人超が避難所暮らしを強いられている能登半島地震の被災対応を筆頭に、この国は問題山積です。何事も問題の定義ができなければ、問題は解決できません。能登の実態把握が遅れたのも納得です。岸田首相の発言は、政権を担当する責任を放棄したのに等しい。裏金ゴマカシ集団に政権を担う資格はありません」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)

 

裏金はもとより、その後の自民の醜悪さに国民は衝撃を受けている。吐き気を催す集団が臆面もなく議員バッジをつけていること自体、もはや狂気の沙汰である。