会社を休んでいる間、ずっと家にいても仕方ないので

朝はとりあえずいつも通り起きている息子に

 

私「朝御飯終わったら、とりあえず駅まで行ってみようよ」

と誘いました。

 

歩いている内に少し気分が変わって、「ちょっと行ってみようかな」と

いう気になるかもという思いがあったからです。

 

そうなった時のことも考えて、会社の制服は袋に入れて持っていくことに。

 

しかし、いつものスーツに着替えるのには抵抗があるようだったので、

「じゃ私服で良いから」と、いつもの普段着で制服を入れた袋とカバンを持って家を出ます。

 

最初の日は、駅までは行けました。

通勤時は、電車に乗ったら1度乗り換えして会社の最寄り駅まで行きます。

 

実は乗り換えする駅までは1駅で、線路沿いの遊歩道を歩いても30分くらいで行けるのです。

通勤時は、「仕事の前に30分も歩いたら疲れるから」というので、電車で通勤していました。

 

特別、身体が弱い子ではありませんが、作業系の仕事なので仕事前はできるだけ体力温存したい

意向があったのです。

 

しかしこの日は、私が「電車で乗り換えの駅まで行ってみる?」と聞いたのですが、

息子「…」

 

しばらく考えている様子でした。

私「行けない?別に会社まで行けなくても良いんだよ。行けるところまでで良いんだから」

息子「…ん、いや、ちょっとここまで」

私「ここまで?帰るの?」

息子「ん、帰る」

私「…そう、…うん、分かった。じゃ帰ろう」

 

しょうがないと思いました。

翌日も駅までは行けたのですが、いざ改札の前で立ち止まってしまいます。

 

私「じゃ、今日別に会社に連れて行くってワケじゃないから、遊歩道歩いて散歩気分で

ゆっくり行ってみようか?」

息子「…いや、やっぱりここで」

私「帰る?」

息子「…ん、帰る」

私「…そか、じゃ帰ろう」

 

3日間くらいこんな感じでした。

 

私としては息子が何も話してくれないこともあり、会社に行けなくなった理由が分かりません。

しかし内容によっては、行けなくなってもしょうがないことだったり

するかもという思いもあったのです。

 

何も知らないで勝手なこと言えないという感じでした。

 

会社を休んで1週間が経過した頃、会社の責任者から電話が入ります。

責任者「〇〇くん、その後どうですか?」

私「ご心配お掛けしております。ここ数日駅まで歩いて行ってみてるのですが、

どうしてもそこから先に行けないようで、引き返してしまうんです。」

責任者「あぁ、そうですか。」

私「今日は駅までも行けなくて、途中で引き返してしまいました」

 

実は休んで4日目くらいには駅までも行けなくて、途中の道すがらにあるコンビニの前で

息子「あ、食パン買わないと」

私「え?そんなの帰りで良いのよ、今買わなくても」

息子「…」

 

駅まで行けないことが、少し私に対しても申し訳ないというか、

どんな気持ちだったんだろう。

 

やっぱり本人は行こうとは思っているけど、身体が動かなくなる

という状態だったんじゃないかと思います。

 

責任者「あぁ、そんなに拒絶反応があるんですか。何があったのかなぁ」

私「私も合間に少し聞いてみてるのですが、やっぱり何も言えないみたいです」

責任者「そうですか。無理やり連れて行ってもいけないし、少し様子を見た方が

いいでしょうね、また頃合いを見て電話します。」

 

そう言ってくださり、有難いやら申し訳ないやらでした。

 

次回は、「もしかしてそれが理由だったの?」と思えた話を書いていきます。