「今度は………私から会いに行く…ね…」
彼女からのその言葉も
また思いがけないものだったけど
俺の想いが一方通行じゃない感じがして
嬉しかった。
「おぅ。
スケジュール空いてる時あったら
連絡する」
「うん。
来てくれてありがとう。
体に気をつけて」
「お前こそな。
じゃ、また…」
なんか……
やけに素直になったじゃねぇか………。
俺は口元のニヤケが治まらないまま
帽子を被る。
ホントは帰りたくないけど
でも仲直りして帰れるのは
とても気分が良かった。
片手を上げて
彼女にじゃあなと目線を送ると
彼女は小さく頷いた。
階段に向かって歩き出す。
背後からは彼女の視線を感じた。
でも振り返ったら辛くなるから
振り返らずに階段を降りた。