だから俺は
まだこの時、全然気づいていなかった。
俺たちの関係性は
決して安心出来る状況ではなくて……
実は危機的状況になり始めていたことに……。
それで俺は色々と
後悔することになるということにも……。
彼女とのこのやりとりを最後に
スイッチが入ったように俺は仕事に集中し
ものすごい仕事量をこなした。
韓国での収録、作曲
メキシコでの公演、インタビュー
言葉で言えば簡単だけど
それぞれの工程は果てしなくて
体力が底を尽きそうだった。
彼女のことも時折頭に浮かんではいたけど
しばらく連絡は難しいって断っておいたし
中途半端につまんない連絡をしたくなくて
メキシコから帰るまでは連絡しないって
俺の中で変な決め事をしていた。
だから彼女に連絡したのは
韓国に戻って3日後。
最後に連絡を取ってから
まもなく1ヶ月になろうという頃。
スケジュールが一段落した時だった。