「影響って?」
彼は事の重大さを
本当に分かってないのかな……
彼のとぼけたような発言に
少しイラっとした。
「写真撮られたり
あることないこと言われたり……
芸能界ってそういうこと
とにかく多いじゃないですか……」
私が少し呆れてそう言うと
彼は一瞬黙ったけど
マグカップを取って一口飲み
コップを置いて、私の方を向いた。
「ヌナ。僕あの時さ……
なんでヌナにお友達になりたいって
声を掛けたと思う?」
彼は穏やかな表情だった。
彼の問いはまさに私が気になっていたこと。
なんで?とずっと一人で
自問自答していたこと。
「………分からない……です。
どうしてだろうって……ずっと思ってて……。
だから………有名人だと知ってから
正直怖いと思ってました……」
今から彼に何を告げられるのか
全く分からないから怖くて
私は少し手が震えていた。