彼のおかげで前向きな気持ちになって
これからはもっと彼のことを知って
心の距離を縮めようと意気込んでいると
「頼むからさ……」
突然
彼は私に背を向け床に座ったまま
そう呟いたのが聞こえてきて
ハッとして目を向ける。
「アイツになびかないでくれ……」
「ぇ……?」
「仕方ないからこのまま帰るけど……
浮気は断じて許さねぇからな…」
私は静かにそう言う彼の後ろ姿を見つめた。
やっぱり
ヨンジュン先輩の存在が
気になってるんだ……。
確かにヨンジュン先輩は
一緒に居て気が楽で
何でも相談できるような人。
お調子者っぽい所もないとは言えないけど
人を思いやって
真剣に考えて行動してくれる人でもある。
だから私の数少ない知り合いの中でも
信用できる人の一人になっている。
でも私が彼に抱いている感情は
恋愛感情ではないなと思った。