僕がこの景色を見れて嬉しい
というよりかは
彼女を喜ばせたかったから……
彼女が見入っている様子に
僕は口元がニヤけた。
でもここには
僕の一大勝負の場所と決めて
彼女を連れてきていた。
だから僕は緊張で
そもそも暖かい場所ではあったけど
なんか暑くなってきて
上着を脱いだ。
ふぅ……………
「ヌナ。もっと近くに行こ」
ちょっと手が湿ってたかもしれないけど
彼女の手を引いて
海に一番近い
ビーチチェアに座った。
「ほんと綺麗……」
海に見入っている彼女と
緊張で海が目に入らない僕。
僕は自分の手をグーにして
一度目をつぶると
心に声援を送る。
『せっかくここまで来たんだ。
チャンスを貰えたんだから
ここで言わないと!
ダメだったらもう…諦めよう。
だから、とにかく今は真っ直ぐ
想いを伝えるのみ!』
「ヌナ」