そのアパートはすごく新しいわけでも
大きいわけでもなかったけど
すぐ近くにオフィス街があるから
所謂一等地だ。
僕は
ここに住んでいる彼女を
改めてカッコいいな……と思いながら
入り口へ足を踏み入れた。
社長から聞いた通り
彼女の部屋のポストには
彼女の名前ではなく
彼女の会社の名前が記されていて
それを見て確信する。
彼女の元に来たのだと………。
彼女の部屋は2階の端の方だった。
緊張から心を落ち着けるように
エレベーターではなく
ゆっくり階段を上がった。
そして帽子をしっかり被り直したり
身なりを整え
彼女の部屋の前で立ち止まる。
『キムテヒョン……後悔なく…だぞ』
心でそう唱えて深呼吸をする。
そして心が落ち着いた所で
チャイムを鳴らした。