「分かった。
忙しいのに……わざわざありがとう」
素直に気持ちを伝えたおかげか
彼女はありがとうと
柔らかい表情で言ってくれて
ホッとした。
お互いの気持ちを確認して
満足した俺は
「引っ越し手伝えなくてわりぃな」
沢山の段ボールに目を向けながら
そう謝り立ち上がる。
「何言ってんの。
最初から頼む気ないよ」
なんだよさっきは可愛かったのに
可愛くねぇこと言いやがって……。
「なんかそう言われるとムカつく…」
「や、ムカつく意味ある?」
そんなことを言いつつも
お互い照れ隠しだってちゃんと分かってる。
俺たちにしか分かんない
俺たちなりの仲良しなんだ。
もう夜は遅いし
これ以上
彼女の作業を邪魔するのは悪いから
名残惜しいけど
帰ることにした。