コップを脇に置いて
急いでパソコンを片付け始めると
彼女は空のコップを持って
キッチンに行こうとした。
「おい」
彼女を呼び止めると
「ん?」
彼女の腕を引っ張る。
彼女が持っていたコップを
安全な位置に避難させて
キョトンとしている彼女の隙をついて
キスをする。
ありがとう。
またな。
俺のこと忘れんなよ……
そういう気持ちを込めて。
「色々ありがとな」
「え……っと……何が…?」
とぼけやがって…
色々気遣った癖に…
「泊めてくれたり……
色々気遣ってくれて」
「別に何もしてないし」
可愛くないこと言ってるつもりだろうけど
俺にはその照れ隠しが可愛いけどな。
「あんま会えねぇけど…
予定合ったらまた来てもいい?」
「うん、いいよ」
「サンキュ」
珍しく彼女が素直に良いよと言ったから
ちょっと驚いたけど
今回俺が来たのが
嫌じゃなかったってことかなと思って
気分は良くなった。
荷物をまとめると
「じゃ、行くな。
色々世話なった」
玄関の方へ向かった。
彼女が玄関まで来てくれたから
軽く手を上げて
俺は部屋を出た。
よし、充電完了。
さぁ仕事だ。