「じゃ、そろそろ帰るな。
風邪……引くなよ」







ホントはまだ居たいけど


今日午後休みになった分
明日はかなりの
ハードスケジュールになっている。






体が資本だから
仕方がない……。










「じゃ、また……」









玄関で彼女が見送ってくれて


なんだかくすぐったい気持ちになる。





 

 

柄でもないけど



なんか新婚みたいだなぁ……
なんて思いながら




俺は彼女の部屋を後にした。





















俺は別に
彼女が欲しいと
特別思ってた訳ではなかった。







けど



この人だな……と思った女は
彼女が初めてだった。









不器用な所もあるけど

さりげない優しさがあって
すごく暖かい人だ。











俺も女が好きな
普通の男なんだな………


彼女に出逢って気づいた。










俺の心の中で思っていることは


自分でも驚く程女々しい気がして






絶対に
他人に本当の気持ちは話せないけど……










芸能界という


きらびやかだけど
息苦しく生きづらい世界で
生きていくには






彼女のような
理解者は不可欠だった。