でも






「今日はどうせたまたまだよ。
プレッシャーかけないで」




彼女は半分笑ってそう伝えてくる。



  





別に


彼女はそのままで良いのになぁ……



そう思いながら








「かけたつもりねぇよ。
でも…またここ来てもいい?」


 


そう少しだけ甘えてみると




「…………お好きに」





彼女は照れ隠しをして
そう言った。






俺は思わずフッと笑った。























彼女が食器を洗ってくれている間




俺は彼女の大学生活について
気になることを聞いたりして




一緒にキッチンにいた。








たまにフッと笑うような
この時間が幸せだった。













洗い物が終わると

一緒にソファの所へ移動した。









彼女は捲った袖を戻しながら







「やっぱ仕事は段々忙しくなってきた?」


そう聞いてきた。










「おぅ。まだまだ知名度は低いけど
曲は作んなきゃなんねぇから
仕事は多くなったかな……」






そう答えると


少し彼女は眉間に皺を寄せていた。





 


「ま、手のマッサージくらいなら
してあげられるから
気が向いたら言ってよ」









彼女は手の"マッサージくらい"
なんて言うけど



そんなことをやってくれる彼女は
世の中そうそういないと思う。








そこだけで評価してないけど


彼女は俺にとって勿体ないくらいの
本当に良い彼女だと思った。










「助かるわ。
もはや毎日して欲しいくらい。
体調ホント良くなんだよ」







彼女に感謝の気持ちも込めてそう言うと


どこかに目を向けたけど
フッと口元が笑ったのがみえて
俺もフッと笑った。