彼女との空間に居心地の良さを感じて
つい自分だけ作業をしてしまって
申し訳なかったなと後悔して謝ったんだけど
「全然いいよ。
でもうちだとやりにくくないの?」
彼女は全然気にしてる様子もなくて
むしろやりづらくないのと心配してくれた。
「さっきすげぇはかどったんだよ。
不思議なことに」
「そう……。でも機材とか………」
彼女はホント
俺のことばかり気遣ってる。
申し訳なさと感謝の気持ちが沸き上がって
でも言葉だけだと上手く伝わんない気がして
気づいたら彼女を抱き締めていた。
え、ほそ…………
彼女は思ってた以上に華奢で
抱き締めて驚いた。
でも彼女からは
香水とか洗剤とかじゃない
なんか優しい落ち着く香りがしてきて
抱き締めるとすごく落ち着く。
「お前の近くは
俺にとって居心地がいいのかもな…」
それは出逢った時から
なんとなく思っていたことだった。
彼女との空間は居心地が良い。
確かに
彼女に対する不安もある。
俺のせいでつまんないよなとか
色々申し訳なく思う所もある。
でも
許してくれるかな……
許して欲しいな………
そういう甘えが
彼女に対してあった。
「普通は人がいると気が散って
作業もはかどんねぇんだけど…
さっきはすごい集中できた。
曲出来ねぇとかイライラしてたのが
嘘みてぇだった。
ありがとな……」
せめてもの思いで
彼女に感謝を伝えた。
でも彼女は
「や……たまたまじゃない?
私が静かにしてたから」
気にしてない風にそう言ってくれる。
さりげない気遣いだなぁと思った。
すごく気遣ってくれてるのは分かってるけど
彼女はそれを隠す人だ。
「俺、結構神経質だから
人がいるってだけでダメな時も多いんだよ。
だから初めてだった、こんなこと」
また勘違いとかされると悪いなと思って
少し照れ臭いけど
本当の気持ちを彼女に伝えた。