一緒に食べ始めるも
「ごめんね。上手じゃなくて」
いきなり謝ってくる彼女。
いや、なんで謝んだよ。
こういうもの作れるやつ
今時なかなかいないんだぞ!
俺は内心すげえって思ってたけど
「俺は食えればいいから」
絶賛するのもなんか恥ずかしくて
とりあえず安心させようとそう言っといた。
すると
彼女は何故か目を伏せて
黙々と食べ始める。
どうしたんだろ……
沈黙がなんか気まずくなって
話を振ってみた。
「お前って
一人暮らししてどんぐらいなんの?」
「3年ちょっと」
3年作ってれば
味にこういう安定感が出るのか……
俺は妙に納得して
「さすがな味だ」
そう言いながら食べていると
「どういうこと?」
彼女が若干キレ気味にそう言って
ハッとした。
あ、たぶん勘違いされたよな、今の……
俺は慌てて
「怒んなよ。旨いって意味だよ」
と弁解した。
やべー
言葉って難しいなとか思っていると
向かい側の彼女が顔を赤くして
黙々と食べていることに気づいて
俺は少しニヤけた。
その後も彼女は黙々と食べて
食器を持って早々と去っていく。
俺は分かりやすい彼女の反応に
一人笑いながら美味しくご飯を食べた。
彼女が食器を洗っている所に
自分の食器も持っていくと
なんか申し訳なさを感じて
「せっかく来たのに
仕事ばっかでごめんな」
さすがに謝った。