「モヨナ。
自分の顔、鏡で見たことある?」
「そりゃありますよ~
化粧する時とか…」
「自分の可愛さに気づいてる?」
「え?
いやぁ…可愛さなんて……
私はすごく地味で……
女優さんとかって
なんであんなに華やかで
綺麗なんでしょうね…
私なんて…」
「こりゃ困ったわ……」
彼女は全然嫌味なくそう言っている。
というか
本気で自分の可愛さに
気づいてないのだと分かる。
「オッパ?何に困ってるんですか?
私なんか悪いことしましたか…?」
「はぁ……
君がね、可愛いからってね、
オファーが来てるんだよ?」
「おふぁー?
え…何ですか……それは……」
「アイドルにならないかって
声が掛かってるの」
「…………ぇええええ!!!?」
彼女は驚きのあまり
箸で持っていたおかずを落としていた。
「あ……おかずが……」
彼女は指で摘まんで
それを弁当箱の蓋に乗せると
「オッパ~
そういう冗談はキツいですよ~
そんな笑わせ方じゃ…」
「いやホントなんだって!」
「ぇえ~…
だ……誰に言われたんですか……?」
「俺のマネージャー」
「マネージャーさん?」
そう言ったら
彼女は少し信用したみたいで
真顔になった。