個人撮影が終わると
僕は他のメンバーの撮影の様子を見ていた。
その時のこと。
「ホソク。ちょっといい?」
マネージャーに声を掛けられて
スタジオの端へ移動する。
「あのさ……
さっき一緒に居た子なんだけど…」
マネージャーは何故か小声で話をしてくる。
「さっきの子……ですか?」
「そう女の子。
あの子って友達?」
僕は答えに迷った。
本当の事を言うべきか
"友達" にしておくべきか………。
「まぁそれはさておき…
一般人だよね…?」
「え……そうです…けど……」
勝手にスタジオに入れたことを
怒られるのだと思った。
でも
「芸能界に興味ないかな?」
マネージャーの予想外の話に
僕はただただ驚いた。
「え…?」
「まぁ僕は
スカウトマンじゃないんだけどさ…
上層部の方で
女性アイドルグループを作る
って話が出てて……。
さっきの彼女
色白で透明感のある子だったから
人気出そうだなって思ってさ」
彼女がアイドル………?
確かにビジュアルも良いし
背は低めだけど
可愛い系のポジションとしては
十分やっていけそうだ。
たぶん人気は出ると思う。
でも……
正直
彼女がアイドルになることは
歓迎できるものではなかった。
やっぱりこの世界は体力的にも
精神的にもキツくて
様々な犠牲を払う。
自分のやりたいことを
犠牲にしてきたであろう彼女に
そういう束縛を受けて欲しくはない。