「嘘言うかよ」
彼は真剣な目をしていた。
「あの……
保留……でもいいですか……?
まだ……ユンギさんがどんな人なのか
分からないので……」
彼の持つ少し謎めいた雰囲気
クールなオーラに
惹かれつつあるのは確かだ。
でも私は
過去の男性関係の影響で
恋愛に前向きな姿勢ではなかったし
どうしても彼が芸能人であることが
引っ掛かっていた。
だから彼に保留でもいいか聞いた。
彼と関係が変わる保証なんて
ないのだけれど
彼の事をもっと知りたいと思っていたのは
確かなことだったから………。
「返事なんていつでもいいよ」
彼はそう言ってくれて
ホッとした。
「でもさ……
そろそろ『さん』付けと敬語やめてくんね?
なんかよそよそしくて話しづらい。
客と店員の前にもうダチだろ?」
自分から友達にはならないと
線を引いていたんだけど
彼とは自然ともう友達になっていて
彼に友達だと言われて
正直嬉しかった。
「うん……」
「じゃあ何て呼べばいいの?」
「ユンギ」
「え……」
「それしかねぇだろ」
私はそれは
馴れ馴れしすぎないかなと思ったけど
ユンギさんと呼び続けるのも
よそよそしすぎる気もした。
「分かった……」