私は予想外過ぎる話に
言葉を失った。
「まだ知られてない事務所ではあるけど
一応うちの社長は元JYPの人間で……。
で俺はそこの練習生だから
事務所とかレッスン室に今缶詰状態でさ……。
俺地方出身だから
ここに友達とかいないんだよマジで。
ま、元々友達は多くないんだけどよ……」
彼の話は聞いているけど
大半が耳の中を
そのまま通りすぎて行くかのような感じで
自分とは
一生関わりのないと思っていた人種が
今目の前にいて
私と話をしていることに
驚きを隠せなかった。
でも彼の話は嘘ではなさそうだった。
環境のせいだろうけど
友達がいないというのも
「だから手があんなにガチガチだったんだ…」
手がガチガチなのも納得だった。
「あの……デビューとかは……」
「一応グループは決まってて……
まぁ社外秘だから
詳しくは話せないんだけど……」
デビュー決まってるんだ………
すごい人じゃん………
練習生になるのも大変で
そこからデビューに行き着く人も
ほんの一握りだって
昔K-POPが好きな友達が言ってた。
「……すごいんですね………。
練習とかキツいんでしょうね……。
やった人にしか分かんない
とてつもない辛さなんでしょうけど…。
やっぱりダンスとか得意なんですか…?」
「や……俺は苦手……」
「え……?じゃあ歌…?」
「ラップ」
「あぁなるほど……」
ラップと聞いて
なんか納得した。
彼の声は私的にはすごく良いと思うけど
彼の雰囲気的にバラードとか
そういうのを歌いそうな感じは
しなかったから……。