「そういえば年って……」







彼は意外と気さくで
私に話し掛けてくれるようになった。









「二十歳です」



「マジかよ……タメじゃん。
じゃ、タメ口で…」








年は近いだろうとは思ったけど
喋り口調から年上かと思っていたから
同い年と聞いて驚いた。




 

でも同い年と言えど
あくまでもお客さんだ。







「私は敬語で」

「なんで」

「お客さんです」

「つまんな……」

「つまらなくて結構です」







彼はタメ口になると
すごくサバサバしていて

私としては
結構話しやすい人だと思った。








 


「面白いな……
名前は……?」

「キムです」

「ちがくて下の名前」

「シセリです」

「シセリね。よろしく」

「はぁ……」






彼が何に面白いと思ったのかは知らないけど


何故か名前も聞いてきて
急に距離を縮められたような気がして
私はちょっと引いてしまっていた。







「俺ユンギ。
あ、知ってるか」

「いや……知りませんでした。
ミンさんとしか……」

「俺ミンさんって呼ばれんの
あんま好きじゃねぇから
下の名前で呼んで」








ユンギさんかぁ……




名前はカッコいいけど

意外とぐいぐい来る人だなぁ……








「呼ぶ機会ないので大丈夫です」








実はチャラ男なのかなと思って


私は冷たく返すと


彼は何故かすごい笑っていた。




 



え、笑うところ……?










「マッサージ終わりましたので
先生呼んできますね」


  



なんか変な空気になって
そわそわしたので



私はさっさと先生を呼んで来ようと
立ち上がった。


ドアの辺りまで行くと
彼に呼び止められる。









「なぁ………」