彼女は僕の話を真剣に聞いてくれて
理解してくれようとしているのが
僕には分かった。
「ありがとうございます。
私……幸せ者です……」
彼女はそう言って微笑んでくれたので
僕はホッとした。
僕の長話のせいで
彼女のお昼休みが
あと少しになっていたことに気づいた僕は
彼女にお昼を食べるよう促した。
彼女は残りのおかずを
次々に口に運んではパクパク食べていて
僕は小動物のような彼女の姿に
一人笑った。
「眼鏡かけてなくて見えるの?」
「少しぼやける時もありますが
何とか……」
ドジな彼女のことだし
なんか危ないなぁと思って
何か方法はないかと考えていると
偶然にも
今日眼鏡を持ってきていたことを思い出す。
僕はカバンからそれを取り出すと
彼女に渡した。
「え…?」
「一応俺、眼鏡持ってるから
眼鏡が直るまでの間
見えなくて困ったらコレ使って。
度合わないと思うけど……」
「でも……ホソクさんが困ってしまいます……」
「俺はそんなに目悪くないから大丈夫。
それに寮にもう1つあるし
基本コンタクトだし」
彼女に半ば無理矢理手渡すと
彼女は僕の眼鏡ケースを
ぎゅっと握った。
「ありがとうございます。
お借りします…」
あとは彼女を責めてきたファンのことだ。
「とりあえず気持ちが落ち着くまで
怖いだろうし
イベントに来るのは控えて……
でも行く気になったら
行っても良いと思う。
ただ、様子を見て危ないと思ったら
逃げることも必要だよ?
あと、困ったらすぐ俺に相談して。
いつでも遠慮しなくていいから」