ある日のこと。
僕が事務所での作業の合間に
廊下を歩いていると
すれ違った人に声を掛けられた。
「テヒョンさん?」
顔を上げてその人に目を向けると
どこがで会ったことのあるような……
長身の男性だった。
「お久しぶりです。
スンギです」
スンギ………?
僕は記憶を辿った。
「○○さんのことで色々と………」
「あ!!!」
そう言われてやっと思い出した。
「すみません……」
すぐに思い出せなかったことを謝ると
「ほとんど話したことはありませんから」
とフォローしてくれた。
「お仕事の方、忙しいでしょう……
体調とか大丈夫ですか?
少し前……騒ぎになったりしてましたが……」
「あぁ……そうですね……
落ち着きました」
「それなら一先ず……良かったです。
チケットの手配の方もてんてこ舞いで……
すごい人気だなぁって
日頃から感じてます」
「あ……部署変わったんですか……?」
「あぁ、はい。
今はコンサート関係の方を…」
「そうだったんですね。
大変でしょうね……」
「いや……テヒョンさん程では……」
ヌナの取り合いになってた時は
こんなに穏やかに話せそうにもなかったけど
今は不思議と
大人なやりとりを出来ていることに
自分でも驚いた。