「本当……ですか?」
「彼女も僕も、その気はないよ。
彼女は魅力的だけど
僕は親のような気持ちで
彼女を見ているからね。
それに僕は既婚者。
愛する妻がいるから安心したまえ」
彼はおちゃらけのような話し方をするけれど
たぶん嘘をついてる訳ではない。
それは初めて話してみても分かった。
「彼女、すごいよ。
今僕の会社で開発に携わってもらってるけど
すごく頑張ってくれてる。
テヒョンさんと○○さんとのことを
僕は応援する気でいるけど
僕も今、彼女を手放せないからさぁ…。
ごめんね。
ま、それも彼女次第なんだけどね」
社長の話で
僕と彼女が音信不通状態の間に
彼女は仕事を
ものすごく頑張っていたのだろうと思った。
彼女は自立していて
強くて
やっぱり仕事に生きる
素敵な女性だと改めて思った。
「少し状況が分かりました。
ありがとうございます」
「全然全然!
彼女のこと……しばらく僕に任せて。
悪いようにはしないからさ。
またいつでも電話してきてよ。
今からちょっと打ち合わせだから
今日は悪いけど……」
「あ……すみません…。
また電話します。
ヌナのこと……よろしお願いします」
「分かりました!ではまた…」
人が良さそうな社長でホッ とした。
彼女から直接
社長の話を聞いた時の感じと合っていて
僕はなんとなくフッ と笑った。
とりあえずは安心した。
僕が彼女を迎えに行くまでの間は
その社長に
彼女のことを任せても大丈夫だろうと思った。