「今日の昼……
ヒョンに会ったんでしょ?
なんで逃げたの?
どうして俺を避けるの?」







私はずっと黙って彼の話を聞いていたけれど





色んな感情が溢れ出して
いつの間にか涙が頬を伝った。








突然の私の涙に

私だけでなく
彼も動揺しているのが分かる。










その頃に社長は電話が終わったようで




私の方に戻って来ると

泣いている私に驚いていた。






「○○さん?どうした……?
君は…………テヒョンさん………だね……?」






「はい……。あなたは……?」






「あ、僕は○○さんの同僚だよ」








「社長……」







私は誤解すると悪いと思って

社長だということをテヒョンくんに伝えた。










社長はこの気まずい空気を読んで




「ごめんね。
今からアポがあるから
行かなくちゃいけないんだ。
もし用があったらココに」




そう言って

社長はテヒョンくんに名刺を渡していた。








そして
社長に背中を押されて
私はマンションを後にした。





















テヒョンくんがその後

どうしたのかは分からない。







でも

社長の気遣いで
あの場から脱出できて良かった。






今の私は
彼と話を出来る状態ではなかった。









社長は背中をさすってくれて



「今日やめとくか?」


と優しく声を掛けてくれた。








「………い………行きます……」




私はヒクヒクしながらそう答えた。





「無理しなくて大丈夫だよ。
話す機会はまたあるよ」

「いえ……
一人でいると………
色々と考えてしまうので……」







今は
落ち着いて考えられるような気がしなくて


仕事に気を反らしたかった。








「分かったよ。
でも、少し休憩してから行こうか」