「足……大丈夫ですか…?」





私は普通に歩いているように見える
ホソクさんが逆に心配になった。





「大丈夫だよ。
ごめん、こっからの通路は
スタッフとか多いから
サッと抜けるよ?」






ホソクさんは少し足を早めて

私の掴んでいる腕に少しだけ
力を入れた気がした。






道にはスタッフさんがいたけど
忙しそうで
私たちを気にしている人はいなかった。






その中を通り抜けると
扉が見えてくる。






扉の前に来ると


ホソクさんは振り返った。






「しばらく活動期で会いに行けないけど
落ち着いたらまた行くから。
それまで…元気でね?
俺はモヨンちゃんに
釘刺されたから無理はしません!
だから……あまり心配しないで」





ホソクさんはそう言って
肩をポンポンと優しく叩いてくれたから

なんだか安心した。






足が重症でないように……

無理しないで欲しい……


とただ願っていたから…。








彼は扉を開けてくれて





「助けてくれて…ありがとうございました」


 
私はそう言ってお辞儀をして
建物を出た。





「気をつけてね」



 
彼は私が見えなくなるまで見送ってくれた。















その後は裏口を出て

ペンのいる近くを通る。









すると突然





目の前に
2人組の女性が立ちはだかった。










ビクッとして足を止めると





「あんたさ
空港でホソクオッパを
怪我させた人でしょ?

ホント何考えてんの?

平然とよくこんな所歩けるよね……。

あんな所であんた何してたわけ?
オッパを怪我させようと待ってたの?
あんたのせいでオッパは怪我したんだよ?
どうしてくれんの?
明日の公演出れなかったらどうすんの?」




2人の内
1人のちょっと強そうな人が
私を責めて来て

怖くて後ずさりした。





でも
ホソクさんが怪我したのは
私が悪いから何も言い返せなかった。



 



「そういうマナー守れないヤツは
もう二度と来るな!」




私は眼鏡を乱暴に取られて
投げ飛ばされた。






彼女らは私を睨みつけると

そのまま去って行った。







私はその場に立ち尽くした。





恐怖で彼女たちに
何も言い返す事も出来ず


涙も出なかった。











しばらくして

落ちていた眼鏡をそっと拾う。








私の長年使っていた眼鏡は
衝撃でレンズにヒビが入り
使えない状態になった。


私はハンカチでそれをくるんで


バッグに入れた。










そしてゆっくりと家路につく。





















その日の夜



私はホソクさんに
メッセージを送った。






私自身は他のペンに責められてしまったけど



ペン想いのホソクさんが
自分を責めたり
気負ってしまわないように……












このメッセージは
ただの励ましではなくて


本気で思うことだった。








彼を怪我させてしまったことは


謝っても謝り切れない。







だけど


彼がいつもの笑顔で
ペンの前に立てますようにと

私は切に願った。