ファミレスに入って
一人、席でぼーーっとしていた。







私は今から何をするんだっけ…



何の為にここで
一人時間を潰しているのか……










ホソクさんは……



スーパーアイドルで

私みたいな人が
近寄っていいような人じゃないのに


友達と言っていいのか……








私はただぼーーっと


暖かいスープをすすりながら


そんなことを考えていた。












ライブの余韻に浸っている内に



気づくと

21時10分を過ぎていた。







そろそろ向かおうと思って

支払いを済ますと




たった一人
人気の無くなった道を歩いて


ライブの会場に戻った。












会場外まで辿り着くと




少し前までの騒がしさが嘘のように




シーーーンとしていた。









本当に来るのかなと不安になりながらも



ホソクさんの指示通り
3番ゲート脇の小道を進む。








道は暗くて心細かったけど



少し歩くと街灯が1つだけある
裏手のような所に出た。










ちょっと寒いなぁ………








手を擦り合わせて待っていると


足音が聞こえてきた。







音のする方に目を向けると

帽子を被ったホソクさんらしき人が
こっちに向かってきた。








見た瞬間


また心臓が忙しくなる。










「ごめん、こんな時間に。
どっかで時間潰せた?」





ホソクさんはいつも通りの感じで
話しかけてくる。






「はい…近くのファミレスで………。
お、お疲れ様でした…」





私は彼に緊張して
なんだかぎこちない。







「疲れた?なんか大人しくない?」


「え……?いや……あの……その…………」





彼が隣に座って顔を覗き込んできて


私は恥ずかしくて目を反らした。








「今日……は……
いつものホソクさんじゃない感じがして……
き……緊張しています………」




たどたどしくそう言うと

ホソクさんはハハハと笑った。



  

「化粧してるからね。
でも俺はいつもと中身は
何も変わんないよ~?」




彼はおどけた顔をして見せてくれて

ちょっとだけホッとした。