「BTS防弾少年団のVに
またもや熱愛疑惑です!」
テレビのアナウンスが聞こえた途端
私は時間が止まったように固まった。
「新人アイドルグループ
◎◎◎のボーカルのアンナさんと
仲睦まじく……」
私は頭が真っ白になった。
デジャブなのか……
私は冷静にニュースを聞くことが出来ず
無意識にテレビを消していた。
「きっと気のせい……」
そう見える写真だっただけ……
私は自己暗示をかけるように
自分に言い聞かせた。
「あ!バイト!やばっっ!!」
ニュースに動揺しているうちに
家を出る時間はとっくに過ぎていた。
私は急いで家を飛び出した。
弁当屋に着くと
雑念が一杯の中、着替えをする。
「あれ……」
バンダナが見当たらない……
弁当を作っているおばさんに相談すると
「忘れ物なんて珍しいね~
ちょっとお疲れ?」
なんて笑われたけど
予備のバンダナを貸してくれた。
私は笑ったように
見せられたかもしれないけど
全然笑えてなかった。
その日は本当に失敗続きだった。
袋に入れる際、弁当を落としてしまったり
お釣りを間違えたり
付けるソースを間違えたり……。
目に見える自分の動揺に
どうしたら良いのか分からなくなっていた。
そんな状態でも
おばさんは優しくしてくれて
「疲れたんだよ。
今日はゆっくり休んで
明日また元気においで」
と早めに帰してくれた。