社長は某有名な製薬会社に
入社してからずっと
その会社に在籍し
数年前までは
ニューヨークの本社に勤務していたらしい。
その頃にはきっと
トップに近い役職だったんだろう。
その製薬会社の社長の夢を聞いて共感し
ビジネス拡大に
是非協力したいと申し出た所
韓国を拠点にして
化粧品業界に挑戦をしてみないか
と誘われたらしい。
おじさん(社長)はその話に乗って
今や社長
ということだそうだ。
「よく韓国っていう未知の国に
来ようって思いましたね~」
私は美味しいケーキを食べながら
リラックスして聞く。
「僕ね
実は留学経験があるんだ、韓国に。
元々アジアに興味があって
ニューヨークの大学でも
韓国語と日本語を少しやってたから
とっかかりは良かったよ。
まぁこっちに来るの決まってから
2年くらい韓国で猛勉強したけどね」
「相当努力されてたんですね…」
彼の前職の経歴ばかりに
気が行ってしまっていたけど
話を聞けば
沢山努力をしていたのが分かった。
やっぱりここまでの人になるには
苦労も多かったんだろうな……
私は感慨深く思った。
「でも努力って言っても
そんなに苦じゃなくて
寧ろ楽しんでたかもしんないなぁ…」
なんかこの社長らしいなと思った。
「なんか社長って……
好奇心旺盛っていうか……
社長なのに弁当屋に
自分で買いに来るなんて……
なかなかいないですよ?」
私がクスクス笑ってそう言うと
「だってあの弁当ホント美味しいもん。
それにね
僕は社長ぶりたくないっていうか
僕も知識が薄いし
一人の力じゃ何もできないし…
社員と対等になりたくってね。
じゃないと
売れる商品を作れないと思うんだ」
私はこの社長の話を聞いて
社長の作った会社に
すごく興味を惹かれた。
なかなかこういう考えの人って
探してもいないと思う。
本人は苦労したとは言わないけど
苦労した人ゆえの見解なんだろうなと
私は思った。
「あ、これ簡単な資料だけど
うちの会社のやつ。
後で見てみて」
パンフレットのような
小さな資料を貰った。