「化粧品の会社だよ」
意外な回答だった。
「ちょっと意外です……」
「でしょ」
「化粧品に興味があったんですか?」
「うーん……
あるっちゃあるし
ないっちゃないかな~」
「え…?」
「ビジネスとして
すごく良いと思ってさ~」
「はぁ……」
おじさんは鞄から
何やらパンフレットを取り出して
私に渡してきた。
「これが僕の会社のパンフレット。
見たことないでしょ?」
「はい……すみません……」
「謝んないでよ~
当然だから。
まだ化粧品始めたばっかりなんだよ。
親会社は薬のメーカーで…
△△△って聞いたことある?」
「えぇもちろん」
「あれがうちの親会社」
「えぇ…!?
……すごい………」
△△△は外資系の製薬会社で
韓国でも名が知れてる会社だった。
「でも化粧品を扱う僕たちの会社は
まだ新しい会社だからね」
「いや、でも
母体がスゴすぎてビックリです……」
私は
そんな有名な会社に
関わっている人だと知って
ただただ驚きだった。
でも驚くのはまだ早かった。
「○○さんさぁ、うちで働く気ない?」
「………え!?」
「年はいくつ?」
「28です……」
「丁度いいねぇ~」
「あの………おじさんは……
人事の方なんですか…?」
「あ~違うよ。
一応社長やってんの、これでも」
私は驚きのあまり声が出なかった。