「モヨンさんも大変でしたね。
僕達を応援してくれるのは
すごくありがたいですけど
怪我はしないように気をつけてください」
ファン想いのジョングクは
彼女に優しい言葉を掛けていて
さすがだなと感心した。
彼女はジョングクのファンだからか
彼の言葉に頷いて
赤面していたのには少し嫉妬したけど……。
「ホソギヒョン、足はどうなの?
マネージャーが様子を見て
明日の公演内容変えるって
さっき言ってましたけど……」
「まぁ様子見てだね。
打撲だから踊れるような気がするし」
僕がメンバーにそう伝えると
彼女は口を開いた。
「無理……しない方がいいです……。
まだ活動は続くんですから……
今無理してしまうと……」
彼女が心配そうな顔で
僕を見つめていたので
「無理しないから大丈夫だよ」
と微笑んだ。
「それに…これのおかげで
だいぶ楽。ありがと」
僕は足を指差してそう言った。
「ん?なんか外騒がしくないですか?」
ジョングクがドアを開けて確認すると
スタッフ達が準備を始めたようだったので
僕達も元来た楽屋に戻ることにした。
「出口まで送ってくよ」
彼女にそう言うと
「私は大丈夫です。
急に押し掛けてすみませんでした!」
と断って
来た道を戻ろうとしていた。
「ちょっと待って。
そっちは行かない方が良いと思う」
来た道戻れば当然
出口には辿り着くけど
表の方はファンがいて
彼女がまたもみくちゃに
されるかもしれない。
そう思った僕は
「裏口案内するから」
と彼女を連れて行った。
「足……大丈夫ですか…?」
彼女の心配は相変わらず僕だったけど
たぶん彼女の湿布のおかげで
痛みはそんなに気にならなくなっていた。
「大丈夫だよ。
ごめん、こっからの通路は
スタッフとか多いから
サッと抜けるよ?」
僕は少し足を早めて歩き出した。
スタッフはいそいそしていて
僕達に気を止める人はいない。
その中を通り抜けると
扉が見えてきた。
「しばらく活動期で会いに行けないけど
落ち着いたらまた行くから。
それまで…元気でね?
俺はモヨンちゃんに
釘刺されたから無理はしません!
だから……あまり心配しないで」
僕はそう言って
彼女の肩をポンポンと
優しく叩いた。
扉を開けてあげると
彼女は
「助けてくれて…ありがとうございました」
そう言って出て行った。
「気をつけてね」
僕は彼女を見送った。