「そういえばヒョン
休みの度に1人でどっか出掛けるから
どこ行ってるのかと思いきや……
彼女と会ってたんですか?」


「う~ん、そうだね…」


「どこで?」


「どこでって……」


「興味ありますよね?
お忍びデートの場所」




たぶん僕たちの立場上
そういう所が気になるのだろう。


マンネたちが興味津々で聞いてくる。






「図書館」



「え!!?」



「無理じゃね!?」



「どうやって……」



「話出来なくないですか?」



「ヒョンに似合わなすぎる……」





メンバーは意外だったようで
各々が小言を言っていた。





「…の中庭だよ」


「中庭?」


「うん。彼女のお昼休憩の時に行って
そこで喋ってた」





詳しく話すとメンバーは
ある程度納得していた。







「……ということは図書館の人…?」


「そう」


「意外過ぎる……」


「その人って明るくて元気なタイプの
図書館の人だったり……」


「しないね」


「ヒョンって
明るくて元気な人が好きって
取材とかで言ってませんでしたっけ?」




ジョングクにそう言われて
そういえばそんなこと言ってたなと
少し思い出した。







「結局は好きになった人なんだね」



ナムジュンに言われて
そうなんだなと実感した。




結局は自分が落ち着ける人なんだなと……。













翌日はライブの打ち上げがあり

それ以降の2日間も休みになった。






メンバーに背中を押されて
僕は彼女に会いに図書館へ足を運んだ。








彼女はいつものように
眼鏡を掛けていて
一見地味ではあるけど

その日は少し違う所があった。






彼女の履いているロングスカートに
見覚えがあったのだ。






僕は意を決して
彼女が本を片付けている所に近づいて

後ろから声を掛けてみた。






「お疲れ様~」


「わ~~ビックリした!!」




彼女は本をぼとぼとと落とした。






驚いている彼女を横目に
落ちた本を拾って渡すと



「ありがとうございます……」

と少し気まずそうにしていた。







「そのスカート……」


「あ!お姉さんが
譲ってくださいました!」


「やっぱり…
似合ってるよ」


「あ、ありがとうございます」



彼女は頬を赤くした。








「今日はお休みなんですか?」


「うん。今日まで休み」


「そうなんですか…。
お疲れでしょうから
ゆっくり休んで
また頑張ってください」


彼女は微笑んでそう言ってくれた。






「今日のお昼
また中庭行ってもいい?」


「あ…はい………」


「じゃあまた来るね」





僕は一旦図書館を離れた。