しばらく母と仕事の話をしていると
姉とモヨンちゃんが戻ってきて
モヨンちゃんを見て
顎が外れそうになった。
彼女は綺麗に化粧をして戻ってきたのだ。
僕にとっては
その辺のアイドルの
何百倍も可愛く見えて
その透明感
純粋無垢な感じに
僕は吸い込まれそうだった。
「え………
どこぞのアイドル
連れてきたのかと思ったら………
モヨンちゃん……?」
オンマは口に手をあてて驚いている。
「さっきモヨンちゃんを横から見てたら
眼鏡の後ろに隠れた素顔が
すっっごい可愛いことに気づいちゃって…
ナチュラルにメイクしただけなのに
この透明感には驚いちゃったわ」
3人でモヨンちゃんをじっと見てるせいか
彼女は顔が真っ赤になっていた。
「ねぇモヨンちゃん。
そんなに可愛いのに
どうして眼鏡を外さないの?」
姉は僕と同じことを聞いてしまって
彼女は再び口を閉ざしてしまった。
「あ………ごめんなさい……
何か事情があるのよね。
無神経に聞いてごめんね」
姉は表情が曇った彼女に気づいて
すぐに謝った。
「あ…いや………お姉さん
謝らないでください。
綺麗にしていただけて
すごく嬉しいんです」
彼女は少し微笑んでそう言った。
「こんなこと~
妹ができたみたいで嬉しくて」
姉は確かに
彼女のことを妹のように
可愛がっている気がしたから
本心なんだと思う。
姉が彼女を気に入りそうだという
僕の予想は見事に当たっていた。
「さてと
お母さんはそろそろ
ごはん作らないとでしょ?
私も手伝うよ」
姉と母は台所に行ってしまった。
そして
取り残される僕と彼女。
彼女は小さくため息をついていた。
僕はどうしても
彼女の隠している
その秘密を知りたくて
彼女の様子を伺っていると
彼女が口を開いた。
「どうしてって……思いますよね……。
こういう所では眼鏡を外せるくせに
なんで外ではダメって言うのか……」
彼女の言う通り
僕はそれが気になっていた。
「俺に話せない?
無理にとは言わないけど
話せば楽になることもあるよ。
誰かに言ったりもしないし」
僕がそう言うと
彼女は膝の上で手をぎゅっと握っていた。
「ホソクさんには
何も関係のないことですよ……」
「そんなことない。
友達の悩みが全く関係ないなんて
俺は思わない」
少し言葉が強すぎたかなと思ったけど
彼女と関わるようになってから
他人事には思えなくなった。
できるものなら
僕と出会ったことで
彼女の胸でつっかえているものを
少しでも取り除いてあげたかった。