それはラジオの公開収録でのこと。




 


収録室に入ると
ガラス越しにファンが見えて


その中に
彼女の姿を見つけた。








瓶底チックな
ダサい眼鏡を掛けているので
僕にはすぐに分かった。












収録を終えると
ファンサの一貫で


部屋から出て
ファンの所を通る。



 






人でごった返していたけれど


彼女のことだけは
視界に入れるようにしていた。







彼女は丁度通る道の近くに居て



彼女に少し声を掛けようと思っていると






ジョングクが通った時に
後ろから押されて
彼女が通り道に向かって
前のめりになっていた。






僕はそれを見て
また転ぶんじゃないかと心配になって







彼女の側を通る際に


「あんまり押さないであげて」


と後ろの人に声を掛けた。








僕の注意で
周りがキャーキャーと
騒いでいる間に

僕は彼女の耳近くに口を寄せて






「連絡待ってるんだけど」



そう言った。








彼女は驚いた顔で僕に目を向けたので

僕はニコッと笑って
その場を去った。





















その日、夜遅く仕事が終わって
ケータイを見ると
通知が来ていた。




相手は新規で

『モヨン』

という名前が表示された。







あぁ、確か
あの子の名前は
モヨンだったな…







僕は地味で有名だった
図書委員長の彼女の名前を思い出した。













LINEを開いてみて

僕は思わず笑った。









絵文字もなく




ただ









これだけ。






なかなか返しづらいじゃないか。






そう思いつつも

彼女らしい気がして


 


別に面白くもないだろうその文面を

何回も見ては笑った。











しばらくの間
何と返そうかと考えた挙げ句



僕は少しずつ
彼女をほぐしていく作戦を立てた。 



※イメージを膨らませる為、画像お借りしております。