流されるまま足は動いても



頭は理解が出来ていなかった。








これは夢なんだ………



きっと悪夢を見てるんだ………












でも病院に着けば
嫌でも状況が分かってくる。





僕が彼女の搬送先の病院に着いた時には


彼女は手術室に入っていて





状況としては悪いと伝えられた。









彼女は何者かに手首を切りつけられ


場所が悪かったのか
かなりの出血をしているらしい。




手術で何とか出来ればいいが
保証はない。
     







僕はサンウさんに支えられながら
手術室の前の椅子で


ただただ彼女を待っていた。



   






でも
僕の体は現状に拒否反応を示し始める。





体が震え始め
血の気が引いた。





''ジョングクさん!?
ちょっと………!大丈夫ですか!?''




僕はそのまま気を失った。










自分でも驚くくらい
かなりのショックだったようだった。








気づいた時には

ベッドに寝かされていて





近くに居たサンウさんが



''ジョングクさん………
大丈夫ですか? 
お気をしっかりと……''



と少し安心したという表情で
声をかけてきた。



 



自分の状況に困惑していると



''ジョングクさん……
あまりのショックで気絶されて……。
診察していただきましたが
体に何か異常があるわけでは
ありませんでしたので………''



''ヌナ…………
ヌナは………!?''




僕はハッとして起き上がった。








''治療室に移されたようです。
傷口は塞いだようですが
まだ状況は変わってないようで………''



''治療室…………治療室はどこですか…… 
連れて行ってください!!''






とにかく気が動転していた。

 




''ジョングクさん
まず落ち着いてください!
また失神してしまいます!

治療室に我々は入れません''



''でも!!せめて近くに!!''



''近くに行っても何も見えません。
一般のエリアから隔絶してます……

プロに任せましょう。
僕たちにできることは
彼女の生命力を信じるだけです……''








現実を淡々と伝える彼の言葉に
絶望的になりながらも
少し落ち着いた。
   



''ジョングクさんの体調は……
大丈夫ですか?''




少しフラフラするような気はしたけど
それ以外はとりわけ悪くはなかった。




''大丈夫…………です''















その後は
しばらくそのベッドで
報告を待った。








1時間程しても何も連絡が無かったので



サンウさんは


''確認してきますので
ここに居てください''


と席を離れた。






彼は少しして僕の元に戻ってきて
状況を教えてくれた。




''彼女は治療室で
輸血をしているそうです。

好転はしていないにしても
状態は安定しているそうで

あとは本人次第のようです……''





''そうですか………''














''ジョングクさん……
すみません……
もう……タイムリミットです…………''